2月下旬は気温変化大きく 新モデルが捉えた「熱帯の春」が日本に影響か
2月下旬は寒暖差が激しくなる可能性
このため、週替わりで季節が前後に行き来するような寒暖差になり、春物を出しつつも、コートをしまうにはまだ早い日が続きそうです。
日本海側では、寒気のタイミングにあわせて北風が強まり、雪の降る日があるでしょう。太平洋側でも低気圧の通過に伴って雨や雪の可能性が出てきます。
ただ、複数の予測計算の中には、高気圧に覆われやすく比較的暖かい日が多くなるという予測もあります。
予報が詳しくなった背景:新モデルが「熱帯の春」を前倒しで検出
この新モデルは熱帯域の季節内変動(10〜60日程度で起こる対流の変動)をより的確につかむことができ、熱帯由来の季節変化の兆しを従来より早く検出しやすくなったと考えられます。
こうした季節内変動の中でも、最もスケールが大きく、日本の天候にも影響しやすいのがMJO(マッデン・ジュリアン振動)です。
最新の1か月予報(2月11日初期値)では、実況ではまだ目立たないMJOの発生兆候をモデルが先に捉え始めているように見えます。
新モデルによって、熱帯から日本への“季節変化のきっかけ"がこれまで以上に自然に表現されている可能性があります。
今回の資料では、まさに熱帯の影響をきっかけに、日本が冬から春へと移り変わる時期特有のパターンがはっきり示されています。
1週目の予測(トップの図)では、
(上図)インド洋〜ベンガル湾で対流の活発化(CHI200の負=青色)が明瞭になっており、
(下図)その対流活発域に応じて、インド洋→東南アジア→北西太平洋→日本付近へ波列(ロスビー波列)がのびている様子が確認できます。
MJOが冬~春の「季節のスイッチ」を揺らす ①MJOがインド洋〜ベンガル湾付近で活発な場合
冬から春への移行期は特にこの影響が表れやすく、日本では“寒暖差が大きくなる背景"にもなります。
MJOがインド洋〜ベンガル湾付近で活発な場合
この位置の対流活発化は、日本付近の上空のジェットを南側へ押し下げやすいため、関東甲信などの太平洋側では低気圧が発達しやすく、雨や雪の量が多くなる傾向があります。
(※「ベンガル湾に対流=日本は寒気+南岸低気圧」が基本パターン)
②MJOが東南アジアの海域やその周辺海域(海洋大陸)まで東進した場合
海洋大陸に活発域が来ると、気圧の谷が通りやすい形になり、一度寒気が入ったあとに短期的に気温が上がる“寒暖差の山"が生じます。
冬から春への移行期に特徴的な「寒気が抜ける → 一時的に昇温 → 再び寒気」という揺れが現れやすくなります。
③MJOがさらに東進し、西太平洋〜日付変更線付近で活発な場合
この位置になると、北太平洋亜熱帯高気圧との相互作用が強まり、日本付近は一時的に高気圧に覆われて暖かい日が増えることがあります。ただ、同時に、ジェット気流が本州付近で北へ大きく蛇行し、南岸低気圧が発達しやすい条件が重なると、太平洋側で雨や雪が増えるパターンもあります。
「精度が向上」の正しい理解
新モデルでは、これまで捉えにくかった熱帯の変動(MJOなど)をより自然に表現できるようになり、予測できる“シナリオの種類"が増えました。
これは、予測の中心(シナリオそのもの)はより現実的になりやすいですが、大気が元々持つ“揺れやすさ"まで小さくなるわけではないということを意味します。
このため、精度が上がっても「幅(不確実性)」が残ることは当然なのです。
今回の1か月予報で言えば、「MJOが本当に発生し、東進していくのかどうか」が、複数のシナリオが分かれる大きな分岐点です。
もし、今後発表される1か月予報などの解説で「MJOが発生し、東進を続けています」という表現が出てくれば、日本付近では"寒暖差が大きくなる予測"がより現実味を帯びてきます。
逆に、MJOが弱いままの場合は、日本付近では高気圧優勢の“比較的暖かい日が多い予測"となる可能性もあります。
このように最新の1か月予報の解説を追うことが、今回発表された1か月予報の示す季節変化の兆しを知る鍵になります。

