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『ゆきと鬼んべ』お山は、三年ごしの日照りで、ぽちっとも、雨が降らねえ年だった。
目のみえないゆきは、ある日、山オニの鬼んべと出会い、大竜巻に巻き込まれて人とも山の墓場デェデラ谷に飛ばされてしまった。
そして、この日照りは山の主のりゅうじんが熱やまいにかかり、雨をふらすことができないからだと、デェデラ坊にきいたゆきは、生きてふたたびもどったものがないという、おっそろしいりゅうじんの山へ、たったひとりでのぼっていた。
鬼んべも大好きなゆきを何としても助けようと勇気をふるいおこし、ゆきをおいかけてりゅうじんの山へ向かうのだった。
--そこには、弱虫の鬼んべはなく、人間どもに、しなくちゃなんねえことを、きっぱり教えてやる、鬼の面がまえがあった--。