『TKUライブニューススペシャル熊本地震10年つなぐ未来へ』、生放送でお伝えしています。続いては『災害関連死』について考えます。
取材した中原アナウンサーです。
災害による直接死の他にも避難生活中に命を落とす『災害関連死』が課題になっています。
熊本地震による県内の死者は直接死50人に対し災害関連死は220人と全体の8割。熊本地震から8年がたったおととしの能登半島地震でも直接死が228人に対し災害関連死は499人と全体の7割を占めています。
熊本地震では災害関連死で亡くなった人の年代は70代以上が約8割を占めました。
では、原因にはどんなものがあるのでしょうか。熊本県が2021年3月時点でまとめたデータによりますと『地震のショック余震への恐怖による肉体的・精神的負担』が4割、次いで『避難所等生活の肉体的・精神的負担』が約3割を占めました。
災害大国と言われる日本ですが災害が起きるたびに避難生活の課題が指摘されています。
熊本地震では車で避難生活を送った方も少なくありませんでしたよね。
熊本市のアンケートでは『避難所が満員で入れない』『小さな子どもがいる』などの理由で熊本市民の約4割が経験したとされています。
避難のあり方が多様化していることから国はおととし、『支援の手引き』を策定し、自治体は車に避難する人へも支援の手が届くよう支援策を検討するよう定めました。
車中泊を選ばざるをえない人がいる。その上で、いかに健康を管理するかが課題です。
熊本市は、車中泊避難の実証実験をもとにマニュアルなどを策定しました。
去年11月に行われた車中泊の実証実験。スマートフォンでのオンラインシステムで避難者の情報を集約し支援に生かす取り組みで、その結果をもとにマニュアルとガイドラインが策定されました。
【大西熊本市長(4月2日の会見)】
「車中泊避難を推奨するわけでないが安全に避難生活を送ってもらえる対応を考える必要があるということで策定した」
熊本市は、車中泊避難場所として中央区の熊本競輪場と南区のアクアドームくまもとの駐車場を指定。ことし1月地震からの再建を果たした熊本競輪場には150台の受け入れが可能な駐車場を整備。また、300人の3日間分の食料などを備えた防災備蓄倉庫を設置しています。
トイレは、断水時でも個室にポータブルトイレを入れて使えるよう、広いスペースをとっています。
【熊本市競輪事務所 西 真一郎 所長】
「災害が発生したときに特に近くに住む方が車中泊で避難できる場所ということで、行政としても車中泊避難をする人を把握する意味合いもありそういう施設の1つになれば」
熊本市は『指定避難所への避難が基本』としながらも車中泊避難のマニュアルを策定し、車中泊スペースの整備も行っています。
一方で、車中泊避難ではエコノミークラス症候群などに注意する必要があります。
専門の医師に聞きました。
熊本県災害医療コーディネーターをつとめる済生会熊本病院 佐藤 友子 医師に車中泊避難でエコノミークラス症候群になりやすい理由を聞きました。
【済生会熊本病院 佐藤 友子 救急科部長】
「同じ姿勢でずっといるとか足を曲げているとかしめつけているとか血流が途絶えることで血の塊ができやすくなる。トイレの頻度を減らすため水分をとらなくなくなる。余計、脱水から血の塊ができやすくなる」
長時間同じ姿勢でいることで引き起こされるエコノミークラス症候群。足の静脈にできた血の塊、『血栓』が立ち上がった際などに血流に乗って流され肺動脈で詰まり呼吸困難や命を落とすことにつながります。
済生会熊本病院では前震後1週間の入院患者の約2割がエコノミークラス症候群などの循環器系の病気で4月17~20日だけで12人がエコノミークラス症候群と診断されたということです。
エコノミークラス症候群を防ぐポイントです。
こまめに足を動かす、水分をとる、車中泊避難では座ったまま寝ないこと(段ボールやマットでフラットに)
そして、避難生活では『口腔ケア』、歯磨きも大事です。
熊本地震では災害関連死の死因のうち「肺炎など呼吸器系の疾患」が最も多く、全体の約3割を占めています。当時、災害支援コーディネーターとして被災者支援に当たった熊本県歯科医師会の牛島 隆 会長に話を聞きました。
【熊本県歯科医師会 牛島 隆 会長】
「歯科というと『死に直結しないだろう』という認識があるのでどうしても後回しになってしまう。ただ、過去の災害でも誤嚥性肺炎を発症した人の8割が1カ月以内に亡くなっている。災害が発生したらすぐに歯科の支援活動を始めるのが必要だということも熊本地震の時に経験した」
細菌が肺に侵入して発症する誤嚥性肺炎。災害直後、避難生活によるストレスや栄養不足などで免疫力が低下する中、断水などで歯磨きができず口の中で細菌が繁殖し発症するリスクが高まるといいます。
【熊本県歯科医師会 牛島 隆 会長】
「災害時には、『口腔ケア』と『食べる』ということの支援は命に関わるということを知ってもらいたい」
牛島会長は、非常用持ち出し袋に歯ブラシや、断水時にも使える『デンタルリンス』液体ハミガキを入れること。また、入れ歯を使用している人は専用のケースと入れ歯を磨く歯ブラシを備えておいてほしいとしています。
