岩手県大槌町で発生した山林火災では、全国から駆け付けた消防の応援部隊が消火活動にあたっている。その活動を後方から支えているのが地元の消防団だ。東日本大震災で津波被害を経験した地域だからこそ、「2回目の被災はさせたくない」という強い思いを胸に、団員たちは地域を守る任務に向き合っている。
いち早く駆け付けた初動対応
大槌町消防団第2分団の分団長を務める鈴木亨さんは、普段は団体職員として地元の漁業を支えている。今回の山林火災では、吉里吉里地区の現場にいち早く駆け付けた。
火災が発生した当時の様子について、鈴木分団長は「山の上にかなりの白煙が見えたので、それなりの山火事だという感じで現場に向かった」と振り返る。
発生初日、団員たちは一晩中消火活動にあたったが、強風の影響で火の勢いは衰えず、延焼が続いた。
全国応援部隊を支える役割
鎮圧が見通せない中、大槌町には全国から緊急消防援助隊が駆け付けている。
「昨年の大船渡市の山林火災もあったので、それを教訓に活動してもらっている。ありがたいです」と鈴木分団長は感謝の言葉を口にする。
4月28日現在、消火活動は県外からの応援部隊が中心となり、地元の消防団は後方支援に回っている。
鈴木分団長は「大船渡の場合は地元の消防団は待機になってしまった。大槌町では最前線には行っていないが、地元の警戒などはできている」と語る。
「二度目の被災はさせない」
第2分団の団員は16人。地理や地名に不慣れな応援部隊を現場に案内したり、地元住民の協力を得ながら防火水槽の水を補充したりと、地域に根差した知識と人脈を生かした活動を続けている。
鈴木分団長は「とりあえず今は火はいくらかでも落ち着いている。休めるときには休みながら、『絶対に民家は燃やしたくない、火をつけたくない』という思いで活動している」と思いを語った。
消防団としての活動は38年目。東日本大震災からの復興の歩みを知る鈴木さんには強い使命感がある。
大槌町消防団第2分団 鈴木亨分団長:
この地区は震災津波で被災して住宅を再建した人が多い。この火災で家が燃えてしまえば、2回被災したことになる。絶対に2回目の被災はさせたくない。
ふるさとで暮らす人たちの笑顔を守るため、15年前の記憶に思いを重ねながら、消防団員たちは今日も地域を支え続けている。
