鹿児島県姶良市長選挙で初当選を果たした米丸麻希子氏が、当選翌日にインタビューに応じた。県内初の女性市長として注目を集める米丸氏だが、「問われるのはその先」と言い切り、市民の声を政策に結びつける仕組みづくりや、2025年8月の豪雨被害からの復旧・復興、そして姶良市の「稼ぐ力」の強化など、具体的な展望を語った。任期は4月25日から始まり、初登庁は27日の予定だ。
「ほっとした気持ちより、これからだという気持ちが強い」
一夜明けての心境を問われると、米丸氏はこう答えた。「本当にありがたい気持ちでいっぱい。ほっとした気持ちと、それ以上に『これからだな』と気持ちが強いです」。
選挙戦を経て得た市民の信任を、重く受け止めている様子が伝わってくる言葉だ。「応援してくださった皆様の声をしっかり受け止めて、誠実に頑張っていきたい」と続け、就任に向けた決意を静かに、しかし力強く示した。
まず「聞く仕組み」をつくる——SNSやLINEで市民の声を
就任後に真っ先に取り組みたいこととして、米丸氏が挙げたのは「現場の声をしっかり聞くこと」だった。市役所職員の声、そして市民の声——それを集めるための仕組みを刷新したいという。
「今まで直接、市長に会うなどの形で声を集めることが主流だったと思うが、SNSを通じて市民が気軽に声を発信できるような仕組みを作っていきたい」
デジタルツールを活用することで、これまで市政に届きにくかった声を拾い上げる狙いだ。特定の人だけが市長に会いに行くのではなく、より多くの市民が日常の延長線上で意見を届けられる環境を整えることが、米丸氏の描く「市民参加」の第一歩となる。
ベッドタウンからの脱却——姶良市に「稼ぐ力」を
姶良市が抱える構造的な課題にも、米丸氏は正面から向き合う姿勢を示した。
「姶良市はこれまでベッドタウンと言われて、市民の約10パーセントが昼間に鹿児島市、霧島市に出て仕事をしていたが、今後は姶良市でもただ暮らすだけではなく、仕事もできる町にしていきたい」
住む場所としての魅力はありながら、働く場が市外に依存してきた姶良市。この現状を変え、市内で経済が循環するような「稼ぐ力」を育てることが、持続的な地域発展につながると米丸氏は考えている。
2025年豪雨の爪痕——復旧と「強いまちづくり」を両輪で
2025年8月に姶良市を襲った豪雨は、甚大な被害をもたらした。田んぼが土砂に埋まり、道路や橋が落ちたまま手つかずの場所も残る。自宅に戻れていない市民もいる中、新市長に課せられた責任は重い。
「まずは被災された皆様にしっかりと寄り添うことが大切だと思っている。1日でも早い復旧を進めていきたい」と米丸氏は語った。
さらに将来の災害への備えとして、企業や地域との連携強化を掲げた。「今後、激甚化する災害に公助だけで備えるのは難しい。企業や地域の方々との連携を強めていく仕組みを作っていくべきだと思う」。行政だけではなく、民間や地域コミュニティとの災害協定を拡充することで、より強靱なまちの基盤をつくる方針だ。
「県内初」より「その先」——女性市長として届ける政策へ
県内初の女性市長という肩書きは、大きな注目を集めている。しかし米丸氏自身は、それを通過点と捉えている。
「県内初の女性市長が話題なのかもしれませんが、本当に問われるのはその先だと思う」
県議を2期5年務めた経験の中で、「男性にはなかなか相談できない体の悩みや子育てなど、女性の議員であることで話しやすいこともあった」と振り返る。そうした経験を市政に生かし、「これまで市に届かなかったような声をしっかりと拾っていって政策に結びつけていけたら」と話した。
米丸氏の任期は4月25日から始まり、初登庁は4月27日の予定だ。SNSによる市民参加の仕組みづくり、産業振興、豪雨からの復興、そして女性ならではの視点を活かした政策――課題は山積するが、「誠実に頑張っていきたい」と語る新市長が姶良市をどう変えていくのか、その歩みが始まる。
