ニ十四節気七十二侯では、啓蟄の桃始笑(ももはじめてさく)を終え、いよいよ春分を迎えようとしています。上の花、桃かしら?と思われた方もいらしたのでは?
こちらの花は、漢方やスイーツで馴染み深い「杏(あんず)」の花です。杏といえばアプリコット。シャンプー等にも使われ、よい香りを想像しますが、花の段階ではまだうっすらとした香りです。中国原産のバラ科サクラ属の落葉小高木で、日本へは平安時代に渡来し、もっぱら薬用として栽培されてきました。実が熟すのは6月ごろ。風通しの良い日陰で乾燥すると、果肉と核が離れやすくなり、核を割って種子を収穫します。この種子が「杏仁」です。
今回は、花も実も種も楽しめるこの「杏(あんず)」について見ていきましょう。