意外と知らない、ボジョレ・ ヌーボーに解禁日があるワケ
グルメ
毎年11月の第3木曜と言えば、そう、ボジョレ・ヌーボーの解禁日ですね。
いまや季節行事としてすっかり定着した秋のイベントですが、今年は原材料価格の高騰や円安の影響で出荷価格が上がったものの、ボジョレの解禁日を毎年楽しみにしている人も多いはず。
でも、ちょっと待って!
なぜこのワインだけ解禁日があるかをご存じですか?
今回は日本人が意外と知らない、ボジョレ・ヌーボーの秘密をひもときます。
ボジョレ・ヌーボーのきほん
フランス・ブルゴーニュのボジョレ地区で、その年に収穫されたぶどうを使って作られるワインを「ボジョレ・ヌーボー」と呼びます。
フランス語で「新しい」という意味を表す言葉が「ヌーボー(nouveau)」であることからも、ボジョレ地区の新酒であることが推測できますね。
さらに、フランスではワインに関する規制が政府によって細かく定められていて、産地ごとに使ってよいぶどうの品種、製法が決まっています。そのため、ボジョレ地区以外でできたワインをボジョレ・ヌーボーとは呼んでいけないことが定められているのです。
なぜ解禁日があるの?
1800年代、フランスではヌーボー(新酒)人気が高く、売れ行きも好調でした。その売れ行きに目をつけたワインメーカーは、他社よりいち早くヌーボーを出荷しようと競い始め、その競争は次第にエスカレート。中にはワインとして完成していないものを出荷するメーカーも出現し、それが大きな社会問題となります。
そうした事態を見かねた政府は、1951年「ヌーボーの発売は毎年11月15日を解禁とする」と発令。
解禁日の縛りができことで、各メーカーはこの日までにきちんとワインを作り込むようになり、以来、多くの人にボジョレ・ヌーボーは愛され続けることになります。
なぜ第3木曜日が解禁日なの?
1951年、フランス政府によって公式に「11月15日」を解禁日として発売することが認められたボジョレ・ヌーボーは、パリのレストランを中心に大ブームとなり、世界中にその名が知られることになります。
しかし、解禁日を15日に限定したことで、その日が土曜・日曜と重なった年は売れ行きが悪くなるといった問題が発生(フランスではほとんどのワインショップ、レストランが日曜休業のため)。
そこでフランス政府は解決策として、1984年に「毎年11月の第3木曜日」という新たな解禁日を設定したのです。
ボジョレ・ヌーボーの飲み頃って?
ワインというと、1本・数十万円を超える年代もの……いった取り上げ方をされることがありますが、実はボジョレ・ヌーボーの飲み頃は作られた年の翌年3月頃までと、とても短命なのです。
その理由は長期保存ができない「マセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸潤法)」という特殊製法で作られているため。つまりボジョレ・ヌーボーは、フレッシュさが命の早飲みタイプのワインなので購入したら日数を置かず、冷蔵庫で1時間くらい冷やして料理とともに気軽に飲む、これがボジョレ・ヌーボーの最善の楽しみ方であることを理解しておきましょう。
最近は、国内でも「山梨ヌーボー」(山梨県産)、「岩手ヌーボー」(岩手県産)が人気を博していますが、「ボジョレ」にこだわらず、さまざまな新酒を飲み比べてみるのも秋の一興ですね。
ヌーボーの蘊蓄(うんちく)を語りながらグラスを傾け、大切な人と美味しい料理を堪能する……。
こんな秋の過ごし方も、大人ならでは楽しみといえそうですね。