8月11日から21日頃にかけて、日本付近に長期間停滞した前線の影響を受けて、西日本から東日本の広い範囲で記録的な大雨となりました。広島県、長崎県、佐賀県、福岡県に大雨特別警報が発表され、お盆期間中はシビアな気象状況が続きました。特に、九州北部や山口県、広島県、岐阜県、長野県で観測史上1位の雨量を更新した所が多々あり、土砂災害や浸水害などの被害が多発し、総務省消防庁によると死者12名の人的被害が発生しました。(8月27日時点)
被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧を心からお祈り致します。
近年、西日本から東日本の広範囲に被害を及ぼした災害といえば、平成30年7月豪雨(西日本豪雨)があります。広島県、岡山県、愛媛県を中心に死者・行方不明者は232名に及ぶ歴史的大災害となりました。一部報道では、西日本豪雨に匹敵する大雨として警戒を呼びかけられてきた今回の豪雨。広範囲で見て、2つの大雨の11日間合計の総降水量を比較すると、令和3年8月の大雨での総降水量は西日本豪雨の95%に相当し、総降水量としては匹敵する規模でした。地点ごとに過去の最大雨量と比較すると、令和3年8月の豪雨より西日本豪雨では大幅に記録を超えた地点が多くありました。また、72時間雨量が過去最大値を超え、その比率が1.5倍を超えた所を中心に犠牲者が多数発生していることが分かりました。
雨量そのものの値よりも、その地点における過去最大雨量と比較した方が被害発生との関係性が高いことが分かります。
詳しくは本間基寛気象予報士の執筆レポートをご覧ください。
「(防災レポートVol.15)令和3年8月の大雨における降水量と被害発生の特徴 ~「記録的な雨量」だったが被害が限定的だった理由は?~」自分の住む場所に、過去にどんな災害があり、どれぐらいの大雨が降ると危険なのか、把握しておくことが重要です。
災害が発生するような危険な大雨が予想される場合には、気象庁から会見が開かれますが、近年毎年のように耳にするのが「これまでに経験がないような大雨が…」「普段災害が起こらないと思われているような場所でも…」というフレーズです。実際に災害が起こった際のニュースでは「自分の居場所は大丈夫だと思っていた。」「こんなことは初めて。」などという住民の方々の声を聞きます。今回の豪雨もそうですが、これまで災害が発生しなかったからうちは大丈夫。という概念は決して持たないでください。災害はいつどこで発生してもおかしくありません。自分が住んでいる市町村のハザードマップを確認しておきましょう。