お祭りのお囃子の音、花火の音、稲妻の音など非日常的な音もあり、人間は様々な「音」に取り囲まれて生きているのです。
旅をすると、場所によってこの「音の風景」ががらっと変わるのに気がつくはずです。NHKラジオでは、「
音の風景」という毎日世界各地の音風景を流す、短い番組を放送しています。
こうした「音の風景」を総合的に考えるのが「サウンドスケープ」という考え方です。
このような音の環境は、人間の気分や行動パターンなどに影響することも多いはずですから、文化人類学調査や環境デザイン、都市計画に応用されたりすることもあります。カナダの音楽学者マリー・シェーファーは『世界の調律』(平凡社ライブラリー)という本を書いています。
街歩きの楽しみのひとつとして、この「サウンドスケープ」のことをちょっと頭に入れてみてはどうでしょうか。「音の風景」を意識してみると、いつもの見慣れた街の表情が大きく変わってくるはず。
たとえば地下鉄を利用する際、繰り返し駅構内に反響する「ピーンポーン」の音には、どんな意味が込められているかをご存じでしょうか?
あるいは、スーバーで買い物をしている最中、ずっと店内にかかっている同じ音色の曲にはどんな秘密が隠されているのか……など、普段何気なく耳にしている音楽を意識的に聞いてみると、違った音風景が感じられることでしょう。
── 最近では、ヘッドフォンから大音量のリズム音が漏れ聞こえる人が少なくなりましたね。でも、スマホに視線を落とし、ヘッドフォンで耳をふさいでいては、街のもう一つの表情を聞き逃してしまっているかもしれませんね。