現代の日本は、諸外国との関わりを深めることによって、様々な面で大きな変化をしつつあります。そうした時、日本人の伝統的な在り方を見つめ直すことの意義は小さくないでしょう。
前回は「古今和歌集」(以下、古今集)の桜の和歌から、当時の人々の自然への強い親密感をご紹介しました。それは恋人への思いを表すようでもあり、心に描く美しい桜への賛美でもあるようです。しかし、それから100年以上を経た平安時代の半ばを越える頃には、桜への思いがさらに深くなり、古今集への疑問や飽き足りなさからか、新しい視点による和歌が生まれてきます。