リンゴを基準に極大の宇宙を比較しましたが、今度は極小の世界を見てみましょう。
原子の直径は10の-10乗メートルですが、原子はさらに小さな単位に分けられます。原子の真ん中には「原子核」があり、そのまわりを「電子」が周っています。つまり、「原子の直径」とは、原子核のまわりを周る「電子の軌道の直径」である、ということができます。
原子の中心にある原子核の直径は10の-15乗メートル。直径が10の-10乗メートルの原子よりも、ずいぶん小さそうです。でも、「原子核のまわりを電子が周っている」といわれても、原子核と電子がどれくらい離れているか、その距離感がピンときません。
そこで、原子核を直径10cmのリンゴと考えてみると、電子の軌道の大きさ(原子の大きさ)はなんと、北海道にある洞爺湖の大きさとほぼ同じくらいになります(洞爺湖は芦ノ湖よりもかなり大きい)。
・原子核の直径(10の-15乗メートル):
・原子の直径(10の-10乗メートル)
=
・リンゴの直径(10cm=10の-1乗メートル):
・洞爺湖の直径(10km=10の4乗メートル)
原子核の大きさと電子の軌道の比率は、洞爺湖の真ん中に直径10cmのリンゴが1つある、という距離感と同じです。洞爺湖の真ん中にリンゴ1個。原子と原子核は、そのくらい大きさが違うのです。
理科の教科書では、原子核と電子の関係は「目玉焼き」くらいの比率で描かれていたような…。原子核が目玉焼きの中心にある黄身で、白身のフチを電子がグルグル周っている、というような模式図で覚えたような気がします。でも、実際には原子核はもっと小さくて、電子とはとっても離れているのです。
〈参考:『宇宙は何でできているのか』, 村山斉, 幻冬舎, 2010〉
〈参考:国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」〉
〈参考:
洞爺湖温泉協会〉