白い雪形、いわゆる「ポジ型」でわかりやすいのが、吾妻小富士に現れる「種まきうさぎ」です。残雪の形を見ると、うさぎが両耳を立てて、こちらを向いているように見えます。ちょうど桜や桃、菜の花が咲く時期に現れ、福島市内からよく見えます。
昔は、山に種まきうさぎが現れるころを見計らって田畑の農作業を始めました。雪形が農事の暦として重要視されていたため、その呼び名も、単なる「うさぎ」ではなく、頭に「種まき」がついて、「種まきうさぎ」と呼ばれるようになったのでしょう。
日本各地には雪形を農作業の暦がわりにしたり、豊作か凶作かの目安にしたりしていた地方がたくさんありましたが、農業は機械化が進み、技術が進歩し、天気予報が発達したため、雪形に頼らなくなってきました。しかし、福島の種まきうさぎをはじめ、雪形が観光資源となっている地方もあり、現在は雪形ウォッチングが開催されたり、雪形のお菓子などが作られたりしているところもあるようです。
参考
浄土平・吾妻山[磐梯朝日国立公園]
「種まきうさぎ」見ごろ♪石川県白山自然保護センター 白山の自然誌29
「白山の雪形」