【愛の小説シリーズ】 1930年 愛の旋律 - Tree Giant's Bread 1934年 未完の肖像 - Unfinished Portrait 1944年 春にして君を離れ - Absent in the Spring 1947年 暗い抱擁 - The Rose and the Yew 1952年 娘は娘 - A Daughter's a Daughter 1956年 愛の重さ - The Burden
シェイクスピアのソネット98『From you』
シェイクスピアは多くのソネットを残していることでも知られています。クリスティーもシェイクスピアもイギリス人。私たち日本人が和歌や俳句に触れるように、クリスティーはソネットに親しんでいたのでしょう。本文の中にもいくつかのソネットが効果的に取り入れられています。和名タイトル『春にして君を離れ』は原書では『Absent in the spring』、シェイクスピアのソネット#98『From you』にちなんでいます。 春を一緒に過ごせなかったね…と男性から女性へ贈られた一節から、クリスティーが作り上げた女性の心理。『From you』は、内なる心が自分の外側の心へ贈る言葉という意味なのかもしれない。小説の主人公・ジョーンと自分を比較したり、重ねて見たり、生温かい春の風に吹かれながら内なる心に想いを馳せるのも、春惜しむころの醍醐味かもしれません。万物の生命力があなたを後押ししてくれるかもしれません。