日本と台湾の関係を語るうえで、避けては通れないのが「台湾の立ち位置」です。台湾は国なのか、それとも中国の地域のひとつなのか。これはとてもセンシティブな問題で、台湾国内においても考え方が分かれています。
日本の統治が終わったとき、台湾は中華民国の地域として復帰します。ところが中国国内では中華民国の国民党(南京国民政府)と中国共産党の内戦が勃発します。この内戦により、国民党を率いる蔣介石が中国大陸から台湾に撤退したことで、台湾の複雑な歴史が始まります。
この時点で中国は、中国大陸の中華人民共和国と台湾の中華民国に分かれてしまい、どちらも「自分たちこそ中国」を主張します。当初は世界的にも台湾の中華民国が中国でしたが、奇しくも1971年10月25日、台湾光復節の日に国連における中国の代表権が中華人民共和国に移り、中華民国は国連を脱退します。
形としては中国において国民党と共産党が長らく内戦状態にあるということで、台湾と国交のある国はわずかしかありません。ところが、「台湾は独立した国家である」と主張する人たちもいます。
これは日本が台湾を放棄したときに、中華民国への復帰が暫定的なものなのか永続的なものなのか定められていなかったことに原因があります。中華民国も中華人民共和国も永続という考え方をベースに持っていますが、台湾が中国に復帰したのは一時的な措置だと考える人が台湾にいます。
それは日本統治時代から台湾で暮らしていた人たちで、独立派として民進党を結成します。「台湾は中国であり、中国とは中華民国のこと」と主張するのが統一派の国民党で、この2つの政党が台湾内では二大政党としてぶつかり合っています。
このように台湾内でも考え方が違う人たちがいるため、現在のような複雑な状態が続いているというわけです。ちなみに、これに対して、日本政府は「台湾の帰属について何ら物を申すべき立場にない」という立場を維持し続けています。
台湾における「統一」・「独立」論争の起源と展開