火星と聞くと「タコのような異星人」が住んでいるイメージしか浮かばない、という人も多いようです。けれども近年火星は、地球人も住める「第2の地球」の最有力候補として注目されているらしいのです。だとしたら、その住みごこちも気になるところ…。
火星の1日の長さは、ほぼ地球と同じ(自転周期は24時間37分)。私たちの体内時計にピッタリですね。なのに1年は687日と倍くらいの長さになり、なかなか歳をとらない気分が味わえるかもしれません。重力は、地球の0.38倍。たとえば体重80kgの人なら、ダイエットもしないで30kgの軽々ボディをゲット(体型は変わりませんが…)。跳んだり投げたりのスポーツ競技もラクラク! また病気も、種類によっては地球以上の治療効果が期待されるのだそうです。
とはいえ、移住するにはいくつかの壁も。火星の大気はとても薄く、ほとんど二酸化炭素なので呼吸は困難に。平均気温はマイナス63度、そのうえ1日の気温差が100度くらいあります。さらに、激しい砂嵐がしばしば発生! 生身で暮らすには、かなり過酷そうですね…。
火星は、地球より太陽からの距離が遠いぶん冷たい環境になっているようです。そのため、極冠の氷を溶かして温室効果で気温を上げたり、藻類を利用して酸素をもたらすなど、現在もさまざまな「惑星地球化計画(テラフォーミング)」の研究が続けられています。
何年か前、海外の民間プロジェクトが「火星移住者候補」を募集したというニュースも話題になりました。火星に着いたらもう帰れないという条件(!)にもかかわらず、なんと予想を大きく上回る多数の応募があったといいます。片道キップでもいいから火星で暮らしてみたいとは、人類のフロンティア・スピリット恐るべし、ですね。
遠い未来には、地球をルーツにもつ火星人が誕生しているかもしれません。ひょっとしたら、頭部がさらに発達して手足が細長くなった「タコ型ボディ」に進化した人類になっていたりして。
それにしても、知れば知るほど地球という星はなんと、人間に優しく奇跡的に配置されているのでしょう。
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惑星地球化計画(テラフォーミング)とは?/JAXA 宇宙情報センター