雪の結晶には一つとして同じ形がなく、またその美しさから、花になぞらえて雪華(せっか)と呼ばれてきました。
結晶の形は、6枚の花びらを持つように見える樹枝状が良く知られていますが、他にも鼓型、角錐状、針状などの様々な形状があります。
中国では、古くから雪の結晶が六角形をしていることが知られており、前漢の時代には韓嬰が雪の結晶についてふれた詩を残しています。
日本でも、東北などの寒冷地や中国からの知識が伝わり、平安期には雪の結晶が六角形であることが知られており、六弁の花(六つの花)として表現されていました。江戸時代に入って古河藩主土井利位が雪の結晶を観察し、「雪華図説」にまとめ出版したところ、結晶図の美しさと完成度の高さから、雪の結晶の模様(雪華模様)は江戸庶民の間で流行し、着物や服飾小物、はては茶碗の模様にまで使われました(この流行を受けて、土井利位は「続雪華図説」を刊行しています)。
雪華模様は、大炊模様(おおいもよう)、六つの花(むつのはな)ともよばれます。「雪華」は土井利位の命名によるもので、別名の「大炊模様」は、利位の官職(大炊頭)からとられています。
黒い布などをひき目を凝らすと肉眼でも観察することができます。
まだまだ底冷えする寒さがしみる季節ですが、この季節ならではの現象を楽しんだり、春へ向けた動植物の動きをキャッチしたりしながら、心豊かな毎日をお過ごしください。
参考:
・花言葉~小さな花に想いをたくして~ 池田書店
・みんなの趣味の園芸