二条院に植えられていた植物(紅梅、常夏、桜、朝顔、蓮、荻、山吹、藤、花橘)はどれもが光源氏の心象と共に出てきた植物です。また、物語中に登場する庭園の様子は女性の身分を表わしています。例えば、六条御息所は庭園の様によって高貴な女らしさが語られています。「木立、前栽など、なべての所に似ず、いとのどかに、心にくく住みなし給へり。」
しかし、夕顔の庭園はそれとは対照的に書かれていて、朝顔(御息所の庭に咲いている)と違い夕顔は「あやしき垣根」に咲く花でありその夕顔の宿は貧しく、「ほどなき庭」でしかありませんでした。
その他女性を具体的に例えている花をいくつか紹介していきます。
<紫の上>
若菜下の二条院における源氏と紫の上の対話場面で自然状態の蓮、蓮と露、極楽浄土と蓮との関連が述べられています。
<空蝉>
空蝉はなよ竹に例えられています。タケは主にアジアに産し、わが国では凡そ12属150種あります。野生の他、栽培もされます。葉は狭長、偏平で短柄、間接があります。弱竹はナユタケ、メダケともいわれます。細くてしなやかな竹、柔らかい竹、若竹で色を変えないめでたいものとして歌に詠まれたましたが、後世は憂いの歌に詠まれるようになりました。空蝉の一見柔和だが芯が1本通っていて自分を見失わない所が弱竹に例えられたのでしょう。
<朝顔の斎院>
朝顔の斎院は朝顔に例えられています。アサガオはアジア原産の1年草で左巻きに他物にまつわります。葉は長い柄があって、普通は3裂します。早朝に咲き、午前中に萎むので朝顔の名がつきました。古典における「あさがほ」は、朝顔と限らず、1部夕顔の巻における「朝顔」においては、「あさがほ」という古名のキキョウであると考えられます。
<玉鬘>
光源氏の愛した女性、夕顔の愛娘・玉鬘。玉鬘は主に山吹、撫子に例えられてます。山吹は、山間の谷川沿いの湿った所に多く又、広く人間に栽培されます。落葉低木で幹は直立して束生、高さ2m位になります。茎の中心に柔らかな白色の髄があり、枝は細く、ジグザグに折れ曲がって緑色、葉は互生、葉質は薄く、表面は鮮緑色となっています。ナデシコは古くから秋の七草の1つとして知られていて茎は数本束になり、直立して緑色、隆起した節があって、高さは普通50cm内外です。夏から秋にかけ優美で雅味のある淡紅色の花が咲きます。
山吹は平安人に好まれ、重ね色目が何種類もありますし、文献上にも様々に登場。その華やかな色彩が愛され、男女ともに盛んに装束に用いました。
源氏物語の「衣配り」という一幕では、玉鬘巻の末巻、舞台となる六条院・二条東院にて光源氏が七人の女性に着物を贈ります。六条院に住まう女君は、紫の上、明石の姫君、花散里、玉鬘、明石の君であり、二条東院に住まう女君では、末摘花と空蝉。
その贈った着物の重ねの色目をイメージして、裏山吹の「山吹色と紅」の組み合せの万年筆が販売されているようです。このような艶やかアイテム、欲しくなりそうですね。
参照
https://www.excite.co.jp/news/article/Japaaan_54680/