初雪は盆にもるべきながめ哉―俳句歳時記を楽しむ
「初もの」の本来の意味は?「初雪」に込められた余白
初雪や幸ひ庵にまかりある 松尾芭蕉
初雪や水仙の葉のたはむまで 松尾芭蕉
初雪は盆にもるべき詠(ながめ)哉(かな) 宝井其角
初雪や上京(かみぎょう)は人のよかりけり 与謝蕪村
初雪や実は降(ふり)のこす薮柑子 松岡青羅
何と読む?初雪や一二三四五六人
初雪をいまいましいと夕(ゆうべ)哉
初雪を降らせておくや鉢の松
初雪や俵の上の小行灯(こあんどん)
初雪に白湯すゝりても我家哉
初雪や一二三四五六人
最後の句は諸説ありますが、読み方はそのまま「はつゆきや いちにさんしごろくにん」で良いようです。人々や子供たちの行き交う様子が眼に浮かびますね。
太宰の初雪の句は?近代は視点が人の軸へ
誰かある初雪の深さ見て参れ 正岡子規
初雪や俥とめある金閣寺 野村泊月
うしろより初雪降れり夜の町 前田普羅
山初雪やどりぎの毬白くしぬ 山口青邨
今朝は初雪あゝ誰もゐないのだ 太宰 治
水枕替ふ初雪の夜なりけり 高橋千草
初雪へ園丁鶴を先ず放つ 金田きみ子
いかがでしたでしょうか?先人の作品を味わうのみならず、今度の初雪や積雪に、一句ひねってみませんか?季語と遊ぶ冬も風流なものですよ。
引用及び参考文献:
カラー版 新日本大歳時記 冬(講談社)
第三版 俳句歳時記〈冬の部〉(角川書店)
