秋は霧の季節となるも 霧日数は各地で減少 地球温暖化や都市化による乾燥化も一因か
「雲海」を漂うような城の出現 「気嵐」なども
これからの季節に多く見られる霧は、放射冷却により陸地で発生するものです。晴れて風の弱い夜は、地表付近の気温が下がり、空気中の水蒸気が水滴になって空中に浮かぶようになります。水蒸気の量が重要となりますので、雨上がりなどで地表付近の湿度が高い場合などは、特に発生しやすくなり、これは「放射霧」とも呼ばれています。盆地で発生することが多い「雲海」と呼ばれるものは、この放射霧のタイプが多くなっています。
また、海上や川の上で発生する霧もあります。こちらは、相対的に暖かい水面上に冷たい空気が流れ込むと、水面から蒸発した水蒸気が冷やされて湯気のような霧になるもので、「蒸気霧」や「気嵐(けあらし)」とも呼ばれています。こちらも天気が快晴または晴れて、風が弱く厳しい冷え込みとなった場合に、出現することがあります。
これらの多くは、晴れの日の早朝限定で、写真撮影などで現地を訪れる際は注意が必要です。これからの時期、早朝はまだ暗い上に、足元付近は凹凸の多い岩場や、積雪や凍結箇所もありそうです。服装や靴は、防寒や防水、防滑機能があるものを用意すると安心です。
霧日数は各地で減少 京都は「-101日/100年」も
このため、地球温暖化や都市化による長期的な気温上昇が続く中にあっては、相対湿度(湿度)は、長期的には低下傾向が続いていくことになります。「湿度が低下していくということは、空気中の水蒸気量が減ることになりますので、霧の発生する日数も減少傾向になっていく」という解釈ができそうです。但し、都市化だけでは説明できない不規則な変動も見られ、未解明な部分も多くあるようです。
図は霧日数の変化をプロットしたもの、実線はその長期変化傾向を示したものです。対象地点は、大都市の京都・東京の2地点と北陸4地点の計6地点です。いずれも長期的に減少傾向となっており、100年当たりでは、京都で-101日、東京で-56日、富山で-28日など、各地で減少しています。その他はグラフ化していませんが、同様にして、大阪で-91日、仙台で-23日、札幌で-24日など減少しているのです。
地球温暖化や都市化による気温上昇や保水力の低下による湿度の低下、短時間強雨などの極端な降水が増えて降水頻度(回数)が減ってくると、霧が発生するチャンスが減少することにも、うなずけます。水墨画のような幻想的な風景を見られる頻度も長期的には減っていくのかもしれません。
