ラニーニャ現象とは別に、北半球の冬の天候を大きく左右する要因の一つとして、北極振動があります。これは、日本への影響という観点で平たく言えば、北極圏からの寒気が日本に流れ込みにくく、日本は高温傾向になる「正の北極振動」と、北極圏からの寒気放出パターンとなり寒気が日本に流れ込みやすく低温傾向になる「負の北極振動」があります。
北極振動のメカニズムについては十分に解明されていませんが、負の北極振動が強化される一因として「成層圏の突然昇温」が挙げられます。ジェット気流が弱まると極渦が分裂、「北極圏からの寒気放出パターン」である負の北極振動が強化されやすくなることがあります。事実、2021年1月4日頃から2月13日頃にかけて大規模な突然昇温が発生、その後の1月下旬から2月前半にかけての対流圏では負の北極振動が強化されたという報告がなされています。2020年度の冬がどのような状況であったかは、北陸在住の皆様には周知の事実でしょう。
1976年度、エルニーニョ現象下での負の北極振動の強化は低温多雪をもたらす一因となった可能性があります。また、1988年度、ラニーニャ現象下での正の北極振動の強化は高温少雪をもたらす一因となった可能性があります。
エルニーニョ現象やラニーニャ現象は、熱帯域の海洋現象を主な根拠にしていて、その温度変化の時間スケールは長く、1か月予報、3か月予報、暖候期予報、寒候期予報などの季節予報に考慮されています。一方、北極振動は時間スケールが数週間から1ヵ月程度と短く、比較的短期スパンで負の北極振動が急速に強化されることがあります。このため、季節予報では十分に考慮することが難しくなっています。このため、冬季の気温動向については常に
最新の1か月予報等を確認する必要があります。