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    阪神・淡路大震災から31年 「防ぎ得た死」はなぜ防げない? 災害関連死を防ぐ避難所革命「TKB48」が注目

    2026年01月16日14:16

    避難所の環境改善が「防ぎ得た死」を防ぐカギに

    発生から間もなく31年となる1995年の阪神・淡路大震災。この災害で認識された大きな課題が「災害関連死」である。地震や津波などの直接的な被害から逃れた後、避難生活の過酷な環境によって命を落とす事態が今も続いている。

    6400人以上が犠牲となった阪神・淡路大震災では、直接死以外の災害関連死で921人が命を落とした。それから30年以上が経過した今も、避難所環境の抜本的改善は進んでいない現状がある。

    30年経っても変わらない避難所の環境

    「富山県で災害関連死がないよう頑張っていく、それが行政の務めと対策本部会議で申し上げたが8人が災害関連死された。一番大切なのは避難所の環境づくりです」

    新田知事は新年初回の定例会見で、能登半島地震を振り返りこう述べた。

    阪神・淡路大震災当時の避難所では、床に直接布団を敷き、老若男女入り混じって雑魚寝する避難生活が続いた。不衛生な環境やストレスが避難者の身体と心を蝕んでいった。

    「一番ほしいものはトイレ。ご飯を食べたくても食べられない、トイレに行きたくなるから。食べないと体力なくなっちゃう、風邪もひいちゃう」と避難者は訴えた。

    医師は当時「インフルエンザが蔓延し、高齢者と乳幼児が次々と発病、1日1日と状態が悪くなっている。これが発展すれば何百人という二次的な人災による死人が出る危険性がある」と警鐘を鳴らしていた。

    おととしの能登半島地震、避難所では雑魚寝が続き、新型コロナのクラスター発生という事態も起きていた。犠牲者698人のうち、災害関連死は県内の8人を含む470人で、直接死の2倍に達した。

    避難所・避難生活学会の水谷嘉浩代表理事は、雑魚寝に象徴される避難所の環境は、災害関連死が教訓として浮上した阪神・淡路大震災から30年経っても、さらには100年以上前の関東大震災から変わっていないと指摘している。

    「TKB48」で災害関連死を防ぐ

    水谷さんは、大阪にある段ボールメーカーの社長で、15年前の東日本大震災以降、全国で災害が起こる度に避難所へ段ボールベッドを届け、雑魚寝を解消することで避難生活の改善に取り組んできた。

    「防ぎ得た死と言われている。防ぎ得たのに防げてないのはやっぱりまずい。ただ医療を投入すれば防げるというものではない。避難所で体調不良者を出さない環境をつくることが先決」と訴える。

    現在、水谷さんが普及させようとしているのが「TKB48」というコンセプトだ。

    「トイレ、キッチン、ベッドTKBを48時間以内に展開する」

    避難所の必需品をユニット(ひとまとめ)にして準備しておき、災害発生直後、被災地に丸ごと運び込んで展開する。国主導で避難所の運営にあたるイタリアの方式を参考にした「ユニット型避難所システム」。

    プライバシーが確保されたドームハウスには発電機から電気が供給される電気毛布つきのベッドが設置されている。

    「段ボールという感じがしない。普通のベッド、体育館とかで床で寝るより全然、楽ですね」と訓練に参加した人が評価する。

    トレーラーで運んだコンテナ群には、広くて衛生的な空間に洋式の水洗トイレが設置されている。

    「TKBのT、一番前にくるのがトイレ。誰でも使いやすい」

    隣のコンテナはシャワー。「シャワーユニットを運んで展開すれば、車いすでも使えますし、誰でも毎日使えるようになっています。こういうのは1カ月後に必要なのではなく発災直後からすぐに必要」と水谷さんは強調する。

    キッチンスペースでは、ハチミツとマスタードで味付けした、ほかほかの「ハニマスポーク」に「海鮮みそ豆乳うどん」が提供された。

    「すごい。おいしい、お茶も温かいのが最高」「災害時にこういう野菜いっぱいなのが嬉しい」と好評だ。

    このユニット型避難所は、横浜市が全国で初めて一式を購入し、来年度から運用を始める予定。

    「まずは環境整備、できるだけ快適においしものを食べて少しでも笑顔が出るような避難所。それが災害関連死を防ぐ一つのやり方と考えている」と水谷さんは話す。

    県内でも進む避難所環境の改善

    避難所での災害関連死をどう防ぐか、県内でも動きが加速している。県が防災士100人を集めて実施した避難所運営ゲーム「HUG」で、避難者の状況が書かれたカードを使って適切な対応をイメージトレーニングしている。

    黒部市が先月導入したトラックには、1日あたり200人の使用が可能なトイレが積まれており、災害時に避難所へ駆け付ける体制が整えられた。県も今年度中に同様のトイレトラックを配備する方針。

    2年前の能登半島地震では、氷見市の避難所で避難者が毛布や寝袋の雑魚寝で夜を明かした。市は今年度中に735床の段ボールベッドを備蓄することにしている。

    避難生活を「人権」の観点から考える

    災害で助かった命を守る避難所のあり方について、国際医療福祉大学大学院の石井美恵子教授は「人権」の観点から次のように指摘する。

    「被災者が我慢をするのではなく、私たちが守ってもらう権利があると認識を変えて声を挙げていかないときっと変わっていかない。『雑魚寝の避難所であなたは生活したいですかー』、そのことを自分自身にぜひ問いかけてほしい」

    防ぎ得た死を本当に防ぐために、避難所の環境改善は急務である。「TKB48」の取り組みをはじめとした新たな避難所のあり方が、今後の災害対策の重要なカギとなる。

    (富山テレビ放送)

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