高潮が発生しやすい場所は「南向きに開いた湾」で、湾の「河口部」「湾の奥まった場所」「V字谷」が危険な場所です。中でも被害が大きくなるのは、海抜ゼロメートル地帯と呼ばれる「海岸付近の低い土地」です。
また、台風による強風が海側から吹きつける地域では、海水が吹き寄せられるため潮位が高くなります。
一般的に、北半球では「
台風の進路の東側」が進路の西側より海面水位が上昇するといわれています。台風の進路次第で風向きが大きく変わりますので、進路にも注意が必要です。
沿岸部の中でも特に高潮の発生しやすい場所があるため、「高潮ハザードマップ」を確認しておきましょう。万が一、高潮による浸水被害が発生した場合に、どのような状況が予想されるか把握することができます。自分が住んでいる場所の危険度を調べておきましょう。
なお、高潮発生のリスクの高い場所にお住まいの方は、屋内で待避していても命に危険が及びますので、立退き避難が必要となります。
台風や低気圧等の接近が予想されているときには、高潮注意報や警報が発表されたら予想最高潮位(高潮の高さ)をもとに命を守るために立退き避難が必要かどうかをご確認ください。
また、台風などの接近時には、潮位の上昇よりも先に暴風が吹き始め、屋外への立ち退き避難が困難となることもあります。このため、高潮警報に切り替える可能性が高い高潮注意報は、暴風が吹き始めて屋外への立退き避難が困難となるタイミングを考慮し、暴風警報が発表されている場合は高潮警報として発表します。暴風が吹き始める段階までには、高潮警報・注意報の予想最高潮位(高潮の高さ)に応じた浸水想定区域の外の安全な場所への避難を完了することが重要です。
また、重大な災害の起こるおそれが著しく大きい場合には「高潮特別警報」が発表されます。この時点では安全な場所に身を確保し、命を守る行動が最優先となります。高潮の危険区域では、自宅に身を置くことも危険となるため、高潮注意報、警報の段階で早めの避難行動が欠かせません。
夏から秋にかけては、日本各地の潮位は一年のうちで最も高くなります。この時期の大潮(新月や満月の前後)の満潮時の潮位は、ほとんどの所で年間の最高潮位となります。台風が襲来しやすい時期と重なるため一層の注意が必要です。
参考資料:
国土交通省「高潮防災のために」内閣府 防災情報のページ 報告書(1959 伊勢湾台風)