水星には、ギリシャ神話の「ヘルメス」「マーキュリー」などの呼び名もあります。その意味は「足が速い者」。日没後や日の出前に現われたかと思うとすぐさま姿を消してしまう素早さだけでなく、水星は実際に、太陽のまわりをすごい速さでまわっているようです。
地球が1年365.2日なら、水星はなんと88日で一周! 一方で、水星の1日は地球の176日分なのです。日の出から次の日の出まで、灼熱の昼88日&極寒の夜88日。一日のんびり過ごしていたら、その間に太陽のまわりを2回まわって、2年が経過してしまうなんて…。
地表ギリギリの低空に短時間しか現われない水星は、地上から望遠鏡で観測するのが難しい星です。また宇宙望遠鏡からは、太陽が近すぎて見ることができません。水星を詳しく観測したければ、探査機を飛ばすしかないのです。
ところが、水星の軌道は減速がうまくいかないと乗ることができず、膨大な燃料が必要なうえ、熱で探査機がやられてしまうほど強烈な太陽光…難易度が高すぎて、これまで地球から水星に行った探査機は、たった2機。そんなわけで未知の部分が多い惑星となっているのですね。
しかし現在、日本とヨーロッパが共同で国際水星探査計画「BepiColombo(ベピコロンボ)」を進めているのをご存じでしょうか?
水星は小さいのにとても重いのですが、それは驚くほど巨大な中心核をもっているから。内部の金属は固まっていない状態と思われ、地球と同じように固有の磁場があることがわかっています。これは最初の探査機が行ってみて初めて判明したことなのだそうです。水星の内部と表層を詳細に探査し、地球と比較したりすることによって、宇宙の秘密にせまることができるかもしれません。調査結果がとても楽しみですね。
JAXAが担当する水星磁気圏探査機は「みお」。燃料対策や熱対策も進歩しているようです。ミッションの詳細を知りたい方は、下記リンクもどうぞ。
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JAXA『国際水星探査計画「BepiColombo」とは』