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    東日本大震災から15年 国の交付金打ち切りで変わる被災者の生活 心のケアはいま〈宮城〉

    東日本大震災の発生から15年が経ち、インフラの整備はほぼ完了したものの、住まいを失った人などが暮らす災害公営住宅では、住民同士のつながりをどう維持していくのかが、課題となっています。
    こうした中、コミュニティーづくりを支えてきた国の交付金も今年度から宮城県への配分は大幅に縮小されたことで、被災した人たちの心のケアはいま岐路に立っています。

    震災の津波で大きな被害を受けた、宮城県名取市閖上地区にある災害公営住宅。90歳になる高橋春子さんは、ここにひとりで暮らしています。
    52年間、住み慣れた閖上地区の自宅は津波で流され、2017年、この災害公営住宅が完成したのと同時に入居しました。

    高橋春子さん
    「家がなくなったんだから仕方ない。でもこんな立派なところに入れてもらったから」

    震災の発生からおよそ5カ月後…。春子さんは、名取市の仮設住宅に身を寄せていました。2カ月近く避難所での生活を余儀なくされましたが、大人数の生活から仮設住宅に移り、不安を感じていました。

    高橋春子さん(当時76)
    「仮設入るとひとりだけでしょ。だから不安はありました」

    そんな春子さんの心を支えたのは、仮設住宅の自治会が作った交流の場でした。住民同士のつながりがひとりで過ごす不安を忘れさせてくれました。

    高橋春子さん(当時76)
    「楽しいですね。毎日色々な話題あるので。(不安は)忘れるもんね、ふっとね」

    災害公営住宅に入居したあとも、春子さんの心を支えてくれた取り組みがありました。それが、名取市のコミュニティー支援事業、「閖上サロン」です。
    災害公営住宅がある団地の中に設けられ、名取市が委託した支援員と住民が世間話などをして過ごす場所でした。

    県によりますと、去年9月の時点で災害公営住宅に入居しているのは、1万4500世帯ほどで高齢者の単身世帯も増加しています。
    また、災害公営住宅の入居者で、誰にもみとられず亡くなった人は、先月末までで444人に上り、3年連続で50人を超えています。

    こうした支援事業は、被災した人たちの心の拠り所となっていました。

    高橋春子さん
    「(閖上サロンが)できてから、毎日のように行ってました。ラジオ体操があったから、朝9時半からね。サロンの中に入って、お茶ご馳走になったりして、昼まで遊んできたりしてね、みんなでお話したりして、楽しかったです」

    しかし、去年の12月で、「閖上サロン」は閉じることになりました。

    「寂しいね、お世話になりました」
    「泣かないで」

    運営資金となっていた、国の交付金が昨年度で打ち切りになったことが理由です。

    震災の発生から16年目となった今年度、被災した人たちの支援の形は、大きく変わろうとしています。
    被災した人の心のケアなどに重点を置いた、政府の基本方針、「第2期復興・創生期間」は、昨年度で終了。この15年で復興事業に一定のめどがついたとして、石巻市にあった「宮城復興局」も機能が東京に移されました。

    心のケアやコミュニティーづくりを支えるため、国から被災3県の自治体に交付されてきた「被災者支援総合交付金」の推移です。2016年度の創設以降、年々、縮小しています。
    今年度は、55億円が計上されましたが、そのほとんどは福島県の自治体に交付され、宮城県分では、県に7000万円あまりで、自治体分は打ち切りとなりました。福島第一原発事故で被災した人への支援がより手厚くなった形です。

    この日、春子さんが向かったのは、災害公営住宅の中にある集会所です。住民たちが手料理を持ち寄り、団地の管理組合がカラオケ大会を開きました。

    「閖上サロン」が無くなった今、住民たちが顔を合わせる機会は、週に2回のカラオケ大会とお茶会のみ。

    この団地も170世帯ほどが暮らしていますが、そのほとんどが高齢者の単身世帯です。
    サロンが無くなった後、会わなくなった人もいるといいます。

    高橋春子さん
    「好きじゃなければ(行かない)好きだけでも行くしね、そういうあれで、会わない人もいるわね、サロンであってだけども、やっぱり出てこない人はいるね」

    春子さん自身もひとりで過ごす時間が増えました。

    高橋春子さん
    「うちでね、テレビ見てたってね、ポツンとしてたって、あれだから。やっぱり寂しいよ。エントラスに行っても、もう閉まっているわね。ちょっと空いてれば、顔出したりなんかするのね。でも今閉まってっから、やっぱり寂しいわね。あそこ広々としてんの。声も聞こえないから。うん…やっぱり寂しいですね。」

    この15年で目に見える復興はほぼ完了しました。しかし、被災した人たちを取り残さないために心のケアをどう進めていくのか…支援はいま岐路に立たされています。

    国の交付金について、宮城県内の自治体に配分される分は、昨年度で打ち切りとなりましたが、県は今年度から、独自に被災者の相談窓口や孤立防止を支援する支援事業をつくり、2500万円の予算を計上しています。

    現時点で複数の自治体と団体から交付の申請を受けていますが、名取市は含まれていないということです。名取市に確認したところ、「高齢者の支援事業は継続するが被災者に特化した心のケアやコミュニティー支援の事業は行わない予定」としています。

    東日本大震災から15年 国の交付金打ち切りで変わる被災者の生活 心のケアはいま〈宮城〉

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