秋田県仙北市西木町に咲く桜。県内の多くの桜が見頃を終え、新緑の季節へと移ろい始める中、この桜は間もなく見頃を迎えます。ことしの桜を特別な思いで見つめる女性がいます。
仙北市西木町上桧木内にある、創業約100年の「なか志ま旅館」です。
出迎えてくれたのは、3代目女将の中島勝子さん。この場所で60年以上、客をもてなし続けています。
なか志ま旅館がある上桧木内地区は、2025年8月、記録的な大雨に見舞われました。
近くを流れる桧木内川が氾濫し、旅館は高さ70センチまで水に漬かりました。併設する食事どころには泥がたまり、一時営業を休止しましたが、全国から訪れたボランティアの支援を受け、被害から3カ月後の2025年11月に営業を再開しました。
なか志ま旅館 3代目女将・中島勝子さん:
「きょうは桜が咲いたから、お稲荷さんに花見をさせようと思って。山菜が採れたから天ぷらにする」
23日朝に採れた山菜を手際よく調理する中島さん。調理場の窓からは、桜が見えます.。
中島勝子さん:
「顔を上げれば、すぐ窓から桜が見える。フライヤーは使えなくなったから、水害の後、ボランティアの人が持ってきてくれた。料理を作ることは楽しい。みんなに『おいしい』と言われるが一番いい」
天ぷらが完成し、桜の前に立つ稲荷に向かいます。
中島勝子さん:
「お稲荷さん、お花見だよ。天気がいいから」
桜は約20年前に植えたもの。毎年地域の人が集まり、成長を見守りながら花見を楽しんでいた中島さんにとって、大切な場所です。
中島勝子さん:
「ことしも咲いた。ことしも春が来た。必ず春は来るから」
同じ場所に咲いていたヒマワリやアジサイなどは、大雨で全て流されてしまいました。それでも桜は、2026年も花を開かせました。
大雨被害の後、なか志ま旅館が迎える初めての春。
「客と関わる仕事が大好き」と話す中島さんは、「桜に負けられない」と、桜とともに温かいもてなしを多くの人に届け続けます。

