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    熱中症対策は企業の“価値向上”にも 大手医薬品メーカーと連携し全員分の飲料を購入…福井の企業の取り組み

    炎天下で働く人たちの命を守ろうと、福井市にある従業員約250人を抱える企業が、大手医薬品メーカーと連携した取り組みを4年前から続けている。国は2025年に企業への熱中症対策を法的に義務化したこともあり、働く現場の“暑さ対策”はいま、単なる福利厚生を超えた経営課題となっている。

    「自腹となると…やっぱり水がメインになる」

    1950年(昭和25年)創立の福井環境事業は、福井市や坂井市などで排出される家庭ごみの収集やプラスチックのリサイクルなどを手がけている。

    ごみ収集や工場での仕分けといった業務に当たる従業員は衛生面から、夏場でも長袖・長ズボンでの作業が必須。強い日差しのもと、熱がこもりやすい服装で動き続けることは、熱中症のリスクと隣り合わせだ。

    5月中旬、この会社に荷物を積んだトラックが到着した。運ばれてきたのは大量の健康飲料。医薬品メーカーの大塚製薬と連携し、4年前から毎年、本格的な夏を前に従業員全員にいきわたる量を購入しているという。

    同社の担当者は健康飲料を選ぶ理由について安達弘幸社長は「1度にバランスよく水分と塩分と糖分を取れるというところが最大のメリット」と説明する。

    この日はさっそく、本社から離れた事業所の従業員たちが飲料を受け取りに訪れた。「大体500ミリリットルを、1日に1~2本は必ず飲む」「自腹となるとやっぱり水とかがメインになってしまう。スポーツドリンクをもらえるのは本当に大変ありがたい」という声が。

    この取り組みの効果について安達社長は「熱中症まではいかないけれども気分が悪くなった、という声が減ってきた」と手応えを語る。

     統計開始以来、最多に—県内の熱中症労災が深刻化

    近年の猛暑で、熱中症は社会問題となりつつある。

    福井労働局がまとめたデータによると、2025年に県内で仕事中に熱中症が疑われる症状で受診したのは190件と、統計開してから7年間で最多を記録した。

    厚生労働省によると、熱中症は死亡災害につながるリスクがほかの労災よりも5〜6倍高い。福井県内でも2022年と2024年に、仕事中の熱中症でそれぞれ1人が亡くなっている。

    深刻化する状況を受け、国は昨年6月から労働安全衛生規則を見直し、企業に熱中症対策を義務付けた。

    企業には、水分補給・体の冷却・体調不良時の休養といった予防策を盛り込んだマニュアルの作成が求められる。

    さらに、高年齢化が進む労働現場への配慮も重要だ。福井労働局の木村和晴健康安全課長は「人材不足の県内では、持病がある高年齢の労働者が就労することも多いため、安全安心な職場環境に配慮してもらいたい」とする。

     熱中症対策は「義務」ではなく「備え」

    福井環境事業では、健康飲料の配布だけでなく、従業員が熱中症そのものや予防策について学ぶ講座も実施。約半数が大塚製薬の提唱する「熱中症対策アンバサダー」に認定されている。さらに、ファン付きウエアや保冷剤入りのベストを導入するなど、装備面でも対策を充実させている。

    担当者はこうした取り組みについて「社会インフラを担っている企業として、従業員が日々健康で毎日仕事をし続けられる環境をいかに整えるか。熱中症対策も従業員の健康を守る一環として今後も継続していきたい」とする。

    熱中症対策はいまや、働く人の命を守るだけでなく、企業の価値向上や人材確保にも直結する時代だ。義務だから、ではなく企業を存続するための備え—そうした姿勢が求められている。

    熱中症対策は企業の“価値向上”にも 大手医薬品メーカーと連携し全員分の飲料を購入…福井の企業の取り組み

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