岩手県大槌町で4月22日、約10km離れた2地区で相次いで発生した山林火災は、延焼が拡大し焼失面積は730ヘクタールに達した。住宅地へ迫る炎、夜間に加速する延焼、拡大する避難指示。被害と不安が広がる中、県内外から消防が集結し、消火活動が続いている。
2か所で山林火災発生 住宅地へ迫る
4月22日に岩手県大槌町の2カ所で相次いで発生した山林火災は、延焼が拡大し焼失面積は730ヘクタールに達している。
「やばいぞ、本当に…」と、思わず消防団員が口にするほどの激しい炎。
4月23日に大槌町吉里吉里地区で消防団が撮影した映像には、依然として強い勢いで山林を焼き続けている様子が捉えられていた。
この山林火災は4月22日午後、大槌町の小鎚地区と、約10km離れた吉里吉里地区周辺で相次いで発生した。
新たに避難指示エリアに加えられた沢山地区では、23日夜、住宅地へ火が迫り、住民が次々と避難を始めた。
避難対象となった住民は「俺はもう20年以上いる。初めてだ。今から逃げる」と話し、避難していた。
人口の3割に避難指示拡大
山林火災は24日で発生から3日目となった。
午前5時、大槌町安渡地区では、火は依然激しく燃えていて、山の麓まで迫っていた。
町の発表によれば、ヘリによる空中散水ができない夜間に、延焼がさらに加速しているという。
延焼の拡大を受け、町は24日午後、避難指示の対象を町の人口の約3割にあたる3233人に増やした。
避難者数は24日午後5時半時点で91世帯246人、吉里吉里地区では倉庫1棟の焼失が確認されており、建物の被害は合計8棟となっている。
避難所にも火の手が迫る
避難所をめぐる動きも続いている。
町は24日、避難所として開設されていた吉里吉里学園小学部に火の手が迫りつつあるとして、約200m離れた公民館へ避難所を移転することを決定した。
24日の時点で78人が身を寄せていたが、移動を余儀なくされた。
避難所を移る人は「小学校だとテントがあって周りを気にせずにいられたが、公民館にはたぶんないと思う。お互いに気を使う生活になると思う」と話していた。
一方、隣接する釜石市の釜石東中学校では24日、避難者の受け入れを開始した。
延焼がさらに進んだ場合、町内にある全ての避難所で収容人数を超えるおそれがあるほか、後発地震注意情報が発表中であることから町が釜石市に打診したのだ。
中学校では状況に応じて生徒による自主防災会も避難所運営に関わる考えで、市は市内の栗林小学校への開設も検討している。
県外消防応援と消火の現実
この火災に対し、県外からも消防が応援に入っている。
23日夜には、仙台市消防局など宮城県から派遣された緊急消防援助隊90人が到着した。
2025年2月に大船渡市で発生した山林火災に出動した経験をもつ隊員も含まれているという。
仙台市消防局の小林邦彦消防司令長は「去年の大船渡市の火災の経験を踏まえ、普通の生活に戻れる環境が一刻も早く整うよう、消火活動に専念したい」と話した。
24日は空中からの消火に加え、青森、秋田、山形各県の消防も加わって消火活動が行われたが、火の勢いは衰えず、鎮圧には至っていない。
鎮圧見通せず 高齢者に疲労
町内のホテルはまぎくには、2カ所の高齢者施設から合わせて115人が避難していたが、入居者に疲労がみられることから、大船渡市内の福祉施設への移動が始まった。1時間ほどかけて移動するという。
一方、町役場の体育館には、他自治体や企業、個人から水や食料などの支援物資が相次いで届いている。町では、支援物資について庁舎への郵送または持ち込みで受け付けている。

