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    “まるで土石流”富士山で春に多発「スラッシュ雪崩」 GW観光で知っておくべき危険と実態

    ゴールデンウィーク中、富士山周辺に遊びに行く人も多いかもしれません。
    山開き前の今の時期に注意したいのが、「スラッシュ雪崩」と呼ばれる富士山特有の災害です。

    山開き前にも訪れることができる5合目付近にも押し寄せる恐れがあるというスラッシュ雪崩。
    現場を取材すると、その爪痕が残されていました。

    いよいよゴールデンウィーク、日本一の山・富士山周辺も多くの観光客でにぎわっています。
    ふもとから5合目を結ぶ有料道路の「富士スバルライン」が全線開通した週末も、国内外から多くの観光客が訪れました。

    観光客:
    私は(富士山)50年ぶり。さわやかでいいですね。もうちょっと晴れていれば。

    オーストラリアから来た人:
    きれいだね。家の近くの山よりずっと高いよ。

    春富士をお目当てに多くの観光客が訪れる時期ですが、同時に富士山特有の災害のリスクがある時期でもあるんです。

    上流から激しく流れ落ちる、砂を含んだ大量の水。
    「スラッシュ雪崩」と呼ばれる現象です。

    土砂や木を巻き込みながら、時に1000メートル以上一気に落下する富士山特有の災害。
    3月から6月までリスクがあるとされています。

    スラッシュ雪崩が起きる仕組みは、雪の上に暖かい雨が降ると凍結した地面の上に雨水がたまり、水の層ができます。この水の層により、解けた雪と地面が混ざり合い、シャーベット状の土砂となって一気に崩れ落ちる現象です。

    4合目にある売店も被害を受けました。
    今から12年前の2014年3月、スラッシュ雪崩が売店を襲いました。

    売店の壁には大量に押し寄せた木が突き刺さり、中から見ると木や雪が散乱するなど、その威力は一目瞭然。
    水と土砂を含む分、重さがあるため、雪崩の威力も大きくなるといいます。

    雪崩が襲った場所はどうなっているのか、専門家とともに現場を取材しました。

    記者:
    あそこからごっそり木がなくなってますね。これはすごいですね。

    帝京平成大学・小森次郎教授:
    ここで起きているのはスラッシュ雪崩。土砂を巻き込んだ雪崩の状態で、ここから流れて下までいっている。

    その威力はすさまじく、あったはずの木々がなくなり、山肌が大きくえぐれているのが分かります。

    帝京平成大学・小森次郎教授:
    (富士山は)元々3776メートルありますから、高さが十分にある。すごく大きな雪崩の現象が起きやすい山。気候であったり、地形であったり、火山という地質。要素が色々兼ね合って、こういった現象が起きる。

    富士山でのスラッシュ雪崩は、富士砂防事務所が把握しているだけで、過去20年間に少なくとも20回以上発生しています。

    スラッシュ雪崩とみられる爪痕が私たちの取材中にも見つかりました。

    帝京平成大学・小森次郎教授:
    ここは何も触らなくても湿ってますよね。特徴的に多分、掘ると雪があるんですよね。

    小森教授が地面を掘ってみると、土の下に見えてきたのは雪。
    本来、解けたはずの雪が、スラッシュ雪崩で落ちてきたとみられる土砂が覆いかぶさり、残っていたのです。

    帝京平成大学・小森次郎教授:
    明らかにこれは、今回の雪が降ったあとの堆積物だから、この間、3月31日に恐らくスラッシュ雪崩が起きていると思う。その堆積物が上に乗っかって。(Q.スラッシュ雪崩が起きた痕跡?)言っていいと思います。

    観光シーズンの到来と同時に高まるリスク。

    実際その範囲は広範囲にわたっていました。
    富士山の4合目と5合目の間では、山頂からほぼ一直線、木がほとんどありません。
    この場所も、地面の下に雪が残っている可能性があるといいます。

    帝京平成大学・小森次郎教授:
    触るとわかるけど、氷ですね、冷たいんですよ。

    記者:
    確かに冷たいですね。

    こうした雪崩の被害を抑えようと、斜面には土砂の勢いを弱める「導流堤」があります。

    しかし、導流堤でもせき止められなかった場合、道路に流れ込む可能性があると小森教授は指摘します。

    帝京平成大学・小森次郎教授:
    導流堤も埋まるぐらいのものが出ることだって全くないとは言い切れない。最悪の場合は、ここも道路も埋まる。例えば数カ月間、工事が必要になる。(車が巻き込まれる)可能性はゼロとは言えない。

    富士山を訪れている観光客にスラッシュ雪崩の映像を見てもらうと「すごいですね。初めて見ました」「こんな土石流みたいなのが起こるとは」などの声が聞かれました。

    危険なのは、登山中の観光客だけではありません。
    ふもとの方では、スラッシュ雪崩の影響で過去に死者が出たケースもあります。

    8年前の2018年3月、スラッシュ雪崩が陸上自衛隊の演習場を襲い、男性2人が死亡しました。
    当時、土砂はトンネルにも流れ込みました。
    そのわずか400メートルほど先には住宅街が広がっています。

    帝京平成大学・小森次郎教授:
    崩れた量がもっと大きければ、(もっと)広い範囲で影響あります。山の形が変わるぐらいの大きな崩壊だったら、ここの街が被害を受ける可能性があった。

    地元の人たちからは「スラッシュ雪崩、聞いたことあります。雪解けの時のあと、雨降ると雪崩おきますよね」「天候とか不安定ですし、大きな災害とか起きているので、この辺のところも崩れたりとか、一気に流れてくることは、想定していかなければいけないのかなと思う」などの話が聞かれました。

    では、スラッシュ雪崩からどうすれば身を守れるのか。
    小森教授によりますと、雨が降ったあとは、特に注意が必要だといいます。

    帝京平成大学・小森次郎教授:
    最近の天気予報、良くなりましたので、2日~3日前ぐらいから注意するとことはできます。特殊な自然現象があるということを知る、まずそれだと思います。引き金になる雪や雨であったりと、自然に興味を持つ、その2点。

    多くの人に親しまれる富士山。
    安全に楽しむためにも、山の「いま」を知ることが大切です。

    “まるで土石流”富士山で春に多発「スラッシュ雪崩」 GW観光で知っておくべき危険と実態

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