2026年の夏はどうなる? 異常高温の2023年と比べてわかる「今年の特徴」
今年の夏も高温傾向
季節の進み方は、梅雨から盛夏へ比較的スムーズに移り変わる見込みです。南から暖かく湿った空気が流れ込みやすく、梅雨時期を中心に局地的な豪雨に注意が必要です。北海道など北日本でも、大気の状態が不安定になりやすく、短時間の強い雨が発生しやすいでしょう。
エルニーニョ現象は典型的な型とは異なる:“太平洋全体の昇温(basin-wide warming)"
●太平洋全体の昇温がもたらす“背景的な暖まり"
太平洋全体の水温の昇温は、海から大気へ渡るエネルギー量を増やします。その結果、広範囲で大気の上昇流を促進したり、対流活動を活発にしたりします。これが、大気全体の温度を押し上げる方向に働きます。今年の高温傾向の大きな背景です。
●太平洋西部(フィリピン〜インドネシア)では相対的に上昇流が優勢
暖かい海域で対流活動が活発になり、積乱雲が発生しやすくなります。
●太平洋中部では下降流が生じやすい
全体的に暖かい中でも、下降流が発生しやすく、相対的に雲が育ちにくいエリアになります。
●太平洋高気圧は東側で強まりやすい
太平洋中部の下降が“高気圧の中心"を押し上げ、日本付近を覆いやすくします。
さらに、太平洋高気圧が東側で勢力を強め、日本には南から暖かく湿った空気が流れ込みやすくなり、これが梅雨前線や局地的な対流の“燃料"となります。短時間の強い雨の発生要因となり、蒸し暑さも強まりやすくなります。
●広く暖かい海→鉛直加熱が強まり、チベット高気圧も強まる
広い海域で対流が起こると、上空での鉛直加熱が増え、アジア上空の気圧が高まりやすくなります。その結果、太平洋高気圧+チベット高気圧の“二段構え" で日本付近を覆うことが増え、夏の気温を押し上げます。
2023年の夏との比較
今年の夏は、「2023年と似ている部分もありますが、同じメカニズムの再来ではありません」
太平洋全体の暖まり方と、大気の上昇・下降の配置が今年特有の形になっている点が重要です。
▶似ている点
2023年は太平洋・インド洋・大西洋など広い海域が暖まり、大気が海洋から熱を受け取りやすい状態でした。今年も太平洋を中心に海面水温が平年より高い海域が広がり、気温が上がりやすい背景は共通しています。
●大気の「西で上昇・中部で下降」の配置が類似
2023年同様、今年も以下の配置が予想されています。
・太平洋西部:上昇しやすい
・太平洋中部:下降が優勢
→このため、太平洋高気圧が日本付近に張り出しやすいという点が共通点です。
● 上層の加熱→チベット高気圧が強まりやすい
海の昇温で上空での鉛直加熱が強まり、チベット高気圧が安定しやすい状況も2023年と共通しています。
▶異なる点(2023年とは成り立ちが違う)
2023年は複数の海域の海水温が同時に大きく昇温しましたが、今年は太平洋中心の昇温で、規模も2023年ほど極端ではありません。
●太平洋の“どこが特に暖まるか"が違う
2023年は 太平洋東部(南米沖)が突出して昇温しました。一方、今年の夏は、東部が特に暖かいわけではなく太平洋全域がまんべんなく暖かいことが特徴です。そのうえで、太平洋西部では相対的に暖かいため、西部で上昇流が起こりやすいのがポイントです。(トップの図の色は「平年差」 を示しており、赤いエリアが“絶対的に最も暖かい海域" を意味するわけではありません)
→ 大気の上昇・下降の配置の成り立ちが2023年とは異なり、暑さの要因も違っています。
●2023年のような“全球同時の加熱"ではない
2023年は海洋・大気の複数の要因が同時に最大化した特別な年で、全球的に気温が跳ね上がった“複合的な同時作用"が起きました。
今年は 太平洋主導の昇温が背景にあり、季節循環(太平洋高気圧+チベット高気圧)が中心となって、暑さをもたらす点が、2023年と異なります。
→2023年のような“極端で全球的な昇温"ではなく、今年は“太平洋中心の昇温"です。
長期予報の不確実性と注意点
・海洋の現象に対して、大気がどこまで安定して反応するか
・大気の上昇・下降の位置がどの程度ずれないか
・短期の極端現象(豪雨・台風・熱波)のタイミング
といった点には、どうしても不確実性が残ります。
このような長期的な傾向を示す季節予報はあくまで 「夏全体の傾向(方向性)」 を示すものであり、実際の天気は、1か月予報や週間予報などをこまめにチェックしてアップデートしていくことが大切です。

