7月30日「明治天皇崩御」明治が終わった日です
国民からの敬愛の大きさは、明治天皇をお祀りする明治神宮や神宮外苑に作られた各施設により知ることができます。
明治神宮の森は全国から献上された木が植樹されたもの
明治神宮と新宿副都心
これだけの熱意のもと、何を植えれば100年後に自然の森として育つのか? 当時の専門家が検討を重ねた結果、椎や樫といった照葉樹を植えることに決定しました。伊勢神宮や日光東照宮のように荘厳な場には、杉林が当然と思われていました。大正時代、既に都市化により東京には公害が進んでおり、大木や老木が枯れるという現象が起きていました。それを考慮してこの地には照葉樹をと決断されたそうです。100年経った今、その判断の正しかったことは明治神宮を訪れてみればよくわかりますね。
神宮外苑は国民だれもがスポーツや芸術を楽しめる場所
葬場殿跡の楠
通りを渡ると聖徳記念絵画館の威容が現れます。その向こうは赤と白のクレーンが何本も立ちあがり、新国立競技場の工事が急ピッチで進んでいるようすが見えてきます。
実はここ、明治天皇の葬送の儀が行われた場所なんです。当時は陸軍の青山練兵場でした。聖徳記念絵画館の裏側の駐車場の奥が、明治天皇の柩を載せた車、御轜車(ゴジシャ)が安置された場所です。今は建立と同時に植樹された楠が大きく育ち、夏の暑さをさえぎるように涼やかな影を作って立っています。
絵画館には明治天皇とその后である昭憲皇太后の御事績を、1枚縦3m横2.7mの日本画と西洋画40枚づつ、計80枚に描かれて展示されています。明治天皇のお生まれから大喪の儀まで、時代の移り変わりが歴史とともに描かれ、明治という時代を理解できるようになっています。絵画館内の静けさの中で、明治を感じて過ごす夏のひとときもいいかもしれませんよ。
日本最古のアスファルト舗装はここ明治神宮外苑にあります
日本最古のアスファルト舗装がされた場所、奥には建設中の新国立競技場
実際には私たちが知らない明治時代、でもその恩恵は今もたくさん受けているんですね。来る2020年に東京オリンピックが開かれる時には、この明治の森にもたくさんの国の人が訪れ、静かな森のたたずまいと活躍する選手たちを楽しんでもらえれば、と感じずにはいられません。
