新しい防災気象情報が5月28日スタート 何が変わる?気象予報士が解説
2026年5月28日にスタートする新しい防災気象情報
新たな防災気象情報とは いつから変わる?
これらは「避難指示」や「高齢者等避難」といった避難情報そのものではありませんが、避難の判断材料となる重要な情報です。自治体では避難情報発令の判断に使用され、市民にとっては自主避難の参考となります。
このたび、この防災気象情報が見直され、種類や名称が大きく変わることになりました。気象業務法および水防法の一部改正にともない、2026年5月28日の午後(ただし、法律上の正式な運用開始は5月29日)から、新しい防災気象情報の運用が始まります。
この日以降、従来の情報から新しい情報へ順次変わります。(※気象庁では上記日程で変更されますが、各サイトやシステムでの対応には時間差が生じる場合があります。)
新しい防災気象情報では、河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮の4種類の災害ごとに整理され、5段階の警戒レベルに応じたわかりやすい構成になります。
防災気象情報見直しの背景
現在(変更前)の防災気象情報
最初は警報・注意報のみだった防災気象情報ですが、気象災害の激甚化や予測技術の向上にともない、土砂災害警戒情報や特別警報など、さまざまな情報が追加されてきました。
その一方で、情報が増え続けたことで、複雑すぎる、名称がバラバラでわかりにくい、警戒レベルとの関係が把握しにくいといったさまざまな課題も生じていました。
こうした課題を解消するため、気象庁では「防災気象情報に関する検討会」を設置し、約2年半かけて見直しを行いました。
今回の見直しでは、防災気象情報をシンプルでわかりやすく整理し、より避難の判断がしやすくなることを目的としています。
では、どの辺りがわかりやすくなったのか、具体的な変更点について詳しく説明していきます。
主な変更点①|情報名にレベルの数字を付けて発表
例)
レベル3大雨警報
レベル5土砂災害特別警報
これまでは、「大雨警報」や「土砂災害警戒情報」といったそれぞれの防災気象情報が、どの警戒レベルに対応するのかを覚えておく必要がありました。今後は必ずレベルがセットで発表されるため、相当する警戒レベルが一目でわかるようになります。
そのため、情報名をすべて覚えていなくても、レベルの数字ととるべき行動を理解しておけば対応できるようになります。
主な変更点②|レベル4相当「危険警報」が新設
これまで、警戒レベル4に相当する防災気象情報は、災害の種類によって名称が異なるほか、相当する情報自体がない場合もあり、一貫性がありませんでした。一方で、警戒レベル4は「危険な場所から全員避難」が必要となる段階であり、その情報がわかりにくいことは大きな課題でした。
新しい防災気象情報では、4種類すべての災害について、警戒レベル4相当の情報が「危険警報」という統一した名称で発表されるため、よりわかりやすくなります。
例)
土砂災害:土砂災害警戒情報→レベル4土砂災害危険警報
大雨(浸水害など):(相当する情報なし)→レベル4大雨危険警報
主な変更点③|同じレベルで情報名が統一
・レベル2 ●●注意報
・レベル3相当 ●●警報
・レベル4相当 ●●危険警報
・レベル5相当 ●●特別警報
高潮に関する情報 変更前と変更後
例えば、高潮の場合、これまでは、他の災害ではレベル5相当に位置づけられている特別警報がレベル4相当とされるなど、他の災害と対応関係が異なっていました。また、レベル5相当の情報は気象台ではなく都道府県が発表する「高潮氾濫発生情報」で、発表機関や名称が異なることも判断をしにくくしていました。
新しい情報では、発表機関や名称の対応関係が整理され、他の災害と同じ基準で理解できるようになります。
気を付けたいポイント|河川の氾濫に関する情報の伝え方
新しい防災気象情報 河川の区分によって情報の種類が異なる
◆洪水予報河川と呼ばれる大河川(全国約400河川)
「氾濫警報」などの河川氾濫に関する情報が河川ごとに発表されます。
◆それ以外の中小河川
「大雨警報」などの大雨に関する情報が市町村ごとに発表されます。つまり、大雨に関する情報では、低地の浸水害(内水氾濫)と中小河川の氾濫に関する情報も含むことになります。
(※ただし、このうち水位周知河川と呼ばれる河川については、将来的に洪水予報河川へと移行する予定です。)
例)
洪水警報→(河川洪水予報の場合)レベル3氾濫警報、(洪水予報河川以外の場合)レベル3大雨警報
流域面積が大きい大河川の場合、雨が降ってから水位が上昇するまでに時間差があるため、氾濫と浸水害のリスクが高まるタイミングは異なります。一方で、流域面積が小さく勾配も急な中小河川の場合、水位上昇の変化が早く、浸水害と同じようなタイミングで氾濫リスクが高まりやすい傾向があるため、大雨に関する情報でまとめて発表されることになります。
あらかじめ、自分の住む地域の河川が、洪水予報河川かそれ以外かを確認し、どちらの情報を見ればよいかを把握しておきましょう。
・洪水予報河川の一覧(気象庁HP)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/flood-tableA.html
その他の変更点|気象情報を「気象防災速報」と「気象解説情報」の2つに整理
新しい防災気象情報 防災気象情報と気象解説情報の一覧
新しい防災情報では、この様々な種類の気象情報が、「気象防災速報」と「気象解説情報」の大きく2つに分類されます。統一的な名称にすることで、各情報の役割がわかりやすくなります。
◆気象防災速報
猛烈な雨や竜巻などの極端な現象がすでに発生、または発生しつつある場合ことを速報的に伝える情報です。「速報」という言葉がついていたら、「どこかでその現象が起こっている、または目前に迫っている」と考えましょう。
例)
記録的短時間大雨情報→気象防災速報(記録的短時間大雨)
顕著な大雨に関する気象情報→気象防災速報(線状降水帯発生)
◆気象解説情報
現在・今後の気象状況や災害発生の危険度の見通しなどを網羅的に解説します。警報などの情報を補足したり、先駆けて注意喚起を行う役割があります。
例)
全般台風情報(総合情報)→気象解説情報(台風第○号)
変わらないこと①|警戒レベル相当情報以外の警報・注意報は従来のまま
従来から変更のない特別警報・警報・注意報の一覧
暴風・波浪・大雪・暴風雪など、上記の表に記載した特別警報・警報・注意報は今までと変わりません。
これらは警戒レベルに相当する情報ではないため、名称にレベルがついたり、危険警報が新設されたりすることもありません。混同しないよう注意しましょう。
暴風や大雪が警戒レベル相当情報に含まれないのは、警戒レベルがあくまで避難行動を判断するための情報だからです。暴風や大雪の場合は、無理に外に避難するよりも、屋内で安全を確保する方が望ましいケースが多くあります。そのため、なるべく屋内にとどまることが基本となります。
変わらないこと②|避難が必要になるタイミングや行動は変わらない
・警戒レベル3 高齢者等避難
・警戒レベル4 避難指示
・警戒レベル5 緊急安全確保
警戒レベル5はすでに災害が発生している、または目の前に迫っている状態で、避難のタイミングとしては手遅れとなっている可能性があります。必ず警戒レベル4までに危険な場所から避難を完了させることが大切です。
まとめ|これだけは押さえたい!新しい防災情報を見るときのポイント
・レベル
・とるべき行動
・対象となる災害
この3つを覚えておきましょう。
先ほどもお伝えした通り、今後は必ずレベルがセットで発表されますので、防災気象情報の名称をすべて覚える必要はありません。レベルととるべき行動を覚えておくことが大切です。
少なくとも、高齢者や小さなお子さんがいる家庭は「レベル3までに避難」、それ以外の方は「レベル4までに避難」と覚えておきましょう。
また、自分のいる場所が、必ずしも4種類の災害すべてが対象になるわけではありません。例えば、ハザードマップで高潮害や土砂災害の対象エリアになっていない場合は、大雨と河川氾濫に関する情報だけを確認すればよくなります。河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮のどの災害リスクがあるかを事前に把握しておき、どの情報が自分に関係あるのかを知っておきましょう。
このようにレベル・行動・災害の3つを把握しておけば、防災気象情報が発表された際に、落ち着いて適切なタイミングで行動することができます。

