ツクシが成長してもスギナにならない? ツクシとスギナの意外な関係とは
ツクシとスギナは同じ地下茎。早春、ツクシが先に出てくる
でも、ツクシの姿と、それが成長したとされる、あの緑色のスギナの姿が、どうも結びつきません。実は、歌の歌詞とはちがって、ツクシが成長してもスギナになるわけではないのです。
ツクシはスギナと同じ地下茎から出てきますが、ツクシとスギナは時期をずらして、ツクシのほうが先に出てきます。そして、スギナが出てくるころにはツクシはほぼ枯れてしまいます。つまり、ツクシという種類の植物があるわけではなく、スギナ“本体”が生えてくる前に、同じ地下茎から先に出てくるものが、ツクシとよばれているのです。
では、このツクシはスギナの何なのでしょう。
ツクシはスギナの「胞子茎」。繁殖のために胞子を飛ばす
ツクシはスギナの「胞子茎」で、早春になるとぐんぐん伸び、10~15cmほどに成長します。ツクシの頭、つまり“筆の先”にあたる部分には、緑色の胞子がたくさんつまっていて、気温が上がってくるといっせいに胞子が飛び出していきます。煙のように吹き出した胞子は風に乗ってあちこちに飛んでいき、胞子を飛ばし終わるとツクシは役目を終えて枯れてしまいます。
スギナは「栄養茎」。光合成して栄養分を調達する
スギナは高さ30~40cmほどに成長します。先に出るツクシは「胞子茎」として繁殖を担いますが、スギナは「栄養茎」として光合成を行い、養分の調達を行います。
スギナは繁殖力が旺盛で、庭や畑に一度生えてしまうと、毎年毎年ふえ続け、どんどん“勢力”を広げ、手がつけられないほどになってしまいます。ツクシは食用、スギナは生薬としても用いられますが、庭や畑にとってはありがたくない雑草として嫌われることもあります。
参考
日本薬学会:生薬の花「スギナ」
NHK for School:ミクロワールド「飛び出す胞子 ツクシの秘密」
レファレンス協同データベース:「つくし誰の子スギナの子」で始まる歌の歌詞が知りたい
ツクシが大きくなって、スギナになるわけではない
